災害によって突然停電したとき、ブレーカーを上げて復旧させた経験のある方も多いのではないでしょうか?しかし、正しい手順・知識やどこに連絡すればいいのかなどを押さえておかないと、感電や火災につながる恐れも。
この記事では、停電時における適切な対処法や、停電が長引いたときに役立つノウハウなどを詳しく解説します。また、停電が復旧するまでに守るべき注意点もあるため、ぜひ最後までご覧ください。
停電時の正しい対処法

在宅時に停電したらまず外を見て、近所の家や街灯の状況を確かめましょう。また自宅のみ停電していた場合は、ブレーカーか落ちているかどうかで対処法が異なります。
自宅のみ停電:ブレーカーが落ちている場合
自宅だけが停電している場合、まずはブレーカーの状態を見てください。下記ブレーカーのいずれかが落ちているかもしれません。
ブレーカーの種類
- アンペアブレーカー:家全体の電気を管理。分電盤にない場合はスマートメーターが設置されている。
- 安全ブレーカー:回路ごとの電気を管理。小さなタイプが複数設置されている。
- 漏電ブレーカー:家のどこかで漏電が起きると落ちる。

アンペアブレーカーが落ちたら
アンペアブレーカーは電気の使い過ぎで落ちてしまうため、使っていた電源機器のスイッチを一度切ってください。
その後、アンペアブレーカーを「入」の状態にして、電源をひとつずつ入れていきましょう。
停電の原因になりやすい家電製品
- 電子レンジ
- ホットプレート
- 卓上IHクッキングヒーター
- 食器洗い乾燥機
- ドライヤー
- 電気ケトル

安全ブレーカーが落ちたら
安全ブレーカーが落ちていたら、対象の部屋へ行き電気機器のスイッチを切ります。その後、安全ブレーカーを「入」にしてください。
懐中電灯を1部屋に1本備えておくと安心です。
漏電ブレーカーが落ちたら
もしも家のどこかで漏電が起きていた場合、そのまま電気が流れ続けると感電や火災を引き起こします。
その危険を防ぐため、漏電発生時に電気を遮断する「漏電ブレーカー」が重要な役割を果たします。
漏電ブレーカーが落ちたときの対処法は下記の通りです。
- 安全ブレーカーを全て「切」にする。
- 漏電ブレーカーを「入」にする。
- 安全ブレーカーをひとつずつ「入」にする。
- 途中で漏電ブレーカーが落ちたら、その回路が漏電箇所である可能性が高い。
- 漏電と思われる回路の安全ブレーカーを「切」にする。
- 漏電ブレーカーを再度「入」にする。
- 漏電と思われる回路以外の安全ブレーカーを「入」にする。
この手順で漏電箇所以外の電気を復旧できますが、そのまま放置するのは危険です。
漏電調査や配線修理は「電気工事士」の資格が必要なので、必ず専門業者へ点検・修理を依頼してください。
自宅のみ停電:ブレーカーが落ちていない場合

どのブレーカーも落ちていないのに自宅が停電している場合は、下記の原因が考えられます。
- 引込線(電柱と家屋をつなぐ配線)が切れている。
- 建物内の設備に不具合が生じている。
- ブレーカーが故障している。
- 近隣で電気工事や計画的な停電が行われている。
引込線や設備の不具合に関しては、電力会社で異常を検知できず停電情報として扱われません。
なお、ブレーカーは寿命が約10年なので、経年劣化により誤作動を起こす可能性があります。
もし停電の原因が分からなければ、地域ごとの一般送配電事業者(例:東京電力)へ連絡してください。

また、近隣で電気設備の点検等をするため、計画的に停電させているケースがあります。
その場合は事前にチラシなどで告知されているはずなので、ポストの中を確認してみましょう。
自宅も近所も停電
自宅も近所も停電したときは、自然災害や何らかの事故により、付近一帯の電力設備が故障していると想定されます。
この場合は電力会社が復旧作業を行いますが、全面復旧まで1週間以上を要することも。
なお、各地域の電力会社ホームページでは停電情報を掲載しています。停電直後はまだ情報が載っていない可能性もあるので、20~30分ほど時間をおいて確認してください。
停電が長引いた場合の対処法

停電が長引くとトイレや冷蔵庫が使えなかったり、スマートフォンの充電ができなかったりと不安になりますよね。
ここでは、そんなときに役立つ対処法を解説します。
トイレの水を流すには
停電によりトイレの水がリモコンで流せない、あるいはタンクの水がなくなってしまった場合の対処法は下記の通りです。
- 浴槽などにあらかじめ水を溜めておき、バケツ1杯程度の水を用意する。
- 水ハネに注意しながら、便器内へバケツの水を一気に流し込む。(勢いが弱いと汚物を流せない)
- におい防止のため、さらに3~4リットル程度の水をゆっくり流す。
- 排水管の汚物停滞を防ぐため、2~3回に1回はバケツ2杯程度の水を流してください。
もしも排水管が破損していたり、床下浸水が発生していたりなどの可能性がある場合は、上記の対処法は控えてください。
汚水があふれ出る、逆流するといった恐れがあるため、異常がないと確認できるまでは携帯トイレを使用しましょう。
タンク式やタンクレス式など、トイレのタイプによっては停電・断水時の対処法が異なる場合もあります。
詳細については下記の記事をご参照ください。
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停電・断水時のトイレ事情は深刻!流してはいけない?
冷蔵庫の中身はどうすればいい?
停電しても冷蔵庫内には冷気が残るので、2~3時間程度は保冷効果が続きます(季節・天候・保存状況などによって異なる)。
保冷時間を少しでも長くキープするための方法は下記の通りです。
ドアの開閉回数を最小限に抑える
ドアを開けている時間が長いほど冷気がどんどん逃げてしまい、庫内の温度が上昇しやすくなります。
ドアを開ける前に必要な食材を決めておき、また何度も開閉しないよう家族に伝えておきましょう。
保冷剤や冷凍食品で温度上昇を防ぐ
保冷剤や冷凍食品を冷蔵室最上段の棚へ移し替えると、庫内の温度上昇を抑えられます。
ただし、ドアの開閉時間を最小限にとどめないと逆効果になるため、ご注意ください。

冷蔵庫内に食品を詰め込みすぎると冷えが悪くなるので、普段から容量の7割程度で収納しておくのも大事です。
一方で冷凍庫は、たくさん詰めた方がかえって冷凍効率がアップします。
スマートフォンの充電を長持ちさせるコツ
停電復旧までの情報収集や連絡手段として、必要不可欠なスマートフォン。バッテリーを少しでも長くもたせるコツを紹介します。
ポイント
- 「省電力モード」「低電力モード」に切り替える。
- 「明るさ自動調整機能」をオフにし、さらに画面を暗くする。自動消灯までの時間を短縮するのも有効。
- 「Bluetooth」をオフにする。
- 停電が長引き圏外になった場合は、通信機能をオフにする「機内モード」に切り替える。
停電してもスマートフォンを充電できるよう、モバイルバッテリーを備えておくとより安心です。
停電時の注意点や事前にできる対策

停電後は、復旧時や長期化した場合も踏まえて行動する必要があります。
また、外出先で停電に見舞われ、エレベーターに閉じ込められてしまった場合の対処法も併せて解説します。
二次災害の恐れも
地震で電気式暖房器具が横倒しになっていたり、電気機器・配線コードが損傷していると、再通電時に出火する可能性があります。
停電時は電源プラグを抜いておき、また自宅を離れ避難する際にはブレーカーを必ず落としましょう。
また、ガソリンやカセットボンベが燃料である発電機を、室内で使用しないでください。発電機の排気ガスにより、短時間で一酸化炭素中毒を引き起こす恐れがあります。

停電時にろうそくを使用するのは避けるのが無難。
地震でものが散乱していると着火しやすい状況にあり、また余震により思わぬ箇所で火災が起きる可能性もあります。
エレベーターに閉じ込められた場合は

エレベーター乗車中に停電し閉じ込められてしまったら、そのまま待機してください。無理にドアをこじ開けようとすると、昇降路へ転落する危険があります。
まず「開」や行先階ボタンを押し、反応がなかったら非常用ブザーで建物内へ知らせます。建物内に人がいないときは、エレベーター内の電話機でメンテナンス会社へ連絡を取りましょう。

エレベーター内にはすき間があるので、窒息する心配はありません。静かに待ちましょう。
電力や水・食料品を備蓄しておく
ポータブル電源・太陽光発電システム・蓄電池システムなどを備えておけば、突然の停電に襲われても電力を確保できます。
また、最低3日分の水や食料品を普段から備蓄しておくと、停電が長引いた場合でも安心です。
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厳選5点だから迷わず選べる!最低限必要な防災グッズを紹介
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意外に不便でいらなかった&実際に役立った防災グッズとは
なお、停電中は冷暖房器具が使えなくなるので、熱中症や寒さ対策も忘れずにしておきましょう。
ポータブル電源を一つ備えておけば、スマホ・タブレット・小型家電を同時に充電・使用できます。中にはLEDライトなどの機能が付いた便利なタイプも。
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自然災害では停電のリスクがつきもの
停電が起きたときに大切なのは慌てないことです。突然の停電に襲われると焦ってしまいがちですが、しっかり状況を確認し冷静に対処しましょう。
地震や台風など、自然災害では停電のリスクが常にあります。少しでも安全性を高めるため、ぜひ正しい対処法を活用してください。
ポータブル電源については、下記サイトもぜひご参照ください。