大規模災害発生時には、断水のリスクが常につきまといます。近年では、台風の影響で12日間もの断水を余儀なくされたケースもあり、長期化するほど水の確保が難しくなるのが現状です。
この記事では、突然断水したときの適切な対処法・注意点や、普段からできる対策について解説します。水は生活の必需品なので、正しい知識を身に付けておきましょう。
Contents
覚えておきたい!断水したときの対処法

断水したら、まずは水栓を閉める必要があります。また、断水時はどこに連絡すればいいのか、どこから情報を得ればいいのかも確認しておきましょう。
※ここでお伝えする内容は強制するものではありません。もしすでに蛇口から水を出してしまったという方は、過剰な不安を抱かず落ち着いて行動してください。
まず止水栓を閉め、必要であれば元栓を閉める
断水が発生したら、まず自宅内の各所にある止水栓を閉めてください。
止水栓
トイレ・台所・浴室・洗濯機等の水量を調整します。それぞれの設備付近に設置されており、ハンドルタイプやマイナスドライバーで開閉するタイプなどがあります。

仮に水道管が損傷していてそのまま水道を使おうとすると、自宅や階下へ漏水する恐れがあります。また、水道管内に水がなくなり空気が混入すると、断水復旧時に圧力で蛇口が飛び跳ねる危険も。
止水栓をあらかじめ閉めておけば、このようなリスクを軽減できます。
もし止水栓の場所が分からなかった場合は、住宅全体の給水を管理する元栓を閉めます。元栓の設置場所は建物によって異なるので注意してください。
元栓
地下の水道管から住宅への水の供給を調整します。閉めると住宅全体の給水が止まります。
【設置場所一覧】
- 一戸建て:敷地内・駐車場付近等のメーターボックス内
- アパート:敷地内、共用スペース(廊下・駐輪場等)のメーターボックス内
- マンション:玄関近くの壁や箱の中(建物の規模によって異なる)
※アパートの元栓は複数の世帯分が同じ場所に設置されています。誤って別の世帯の水道を止めてしまわないよう、慎重にご確認ください。

止水栓の設置場所は建物の年代や種類によってさまざまで、また元栓も普段は目に入らない場所へ設置されています。
断水だけでなく水漏れした場合もすぐ止められるよう、設置場所を確認しておくといいでしょう。
断水時の連絡先・情報源・給水場所はどこ?
断水が工事や点検によるものであれば、水道局や管理組合・管理会社へ連絡します。
しかし、災害で断水になった場合の連絡先は明確に定まっていないため、お住まいの自治体に問い合わせてご確認ください。
断水時の連絡先
- 災害時→お住まいの自治体へ確認
- 工事などによる給水停止→水道局
- 集合住宅での点検→管理組合・管理会社
断水情報や給水拠点などは、各地域の水道局や自治体のホームページで確認できます。
給水拠点から水を運ぶには、持ち運びやすいポリタンク・折り畳み式ウォーターバッグを使ったり、ポリ袋と段ボール箱・風呂敷などを利用したりする方法があります。

日頃からできる断水への備え

突然の断水に備え、下記の準備をしておきましょう。
- 水(飲料用・生活用)や調理不要の非常食を備蓄
- 浴槽に水を張っておく
- ウェットティッシュ・ドライシャンプーをストック
- バケツを用意(断水時のトイレで使用)
1人あたりが1日に必要な水(飲料用+生活用)の目安は3リットルです。家族分の飲料水を最低3日分備蓄しておきましょう。
水道水を飲料用として備蓄できる?
長期保存用の水は高価なものが多く、またペットボトルはある程度の期間で買い替える必要があります。もし水道水を飲料用に備蓄できたらかなり節約できますよね。
水道水には残留塩素が含まれているため、ある程度の期間は保存できます。ただし、地域によって気候や気温が異なるため、保存可能な期間は3日~1ヶ月程度と差があります。
保存の条件や期間については、お住まいの自治体の公式サイトなどをチェックしてみてください。
また、自宅から避難しなければならないときは、水の容量が多いと持ち運ぶのが困難です。
ご家庭の人数や環境に合わせ、500ミリリットルの水も多めに用意しておくのがおすすめです。
断水時は、トイレで使用する水の確保も重要なので、浴槽に水を張り備えておきましょう。
そのほか断水時の便利グッズとして、ウェットティッシュやドライシャンプーなどが挙げられます。必要に応じた量を用意しておけば安心です。
夏場に断水が起きた場合、入浴できない状況が続くと非常に困ります。
ドライシャンプーがあれば、水・お湯を使わずに頭皮のベタつきやニオイを解消できます。
断水時のトイレ事情はとても深刻です。過去の断水事例では、トイレに流す水がなく苦労を強いられたという声が多く見られます。
断水・停電した場合にトイレの水を流す方法については、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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停電・断水時のトイレ事情は深刻!流してはいけない?
断水対策のみで考えれば、上記の備えである程度の期間は持ちこたえられます。しかし、大規模な自然災害によって断水が起きた場合は、それにともなった食料品や生活用品が必要です。
断水への備えとともに、ほかの防災グッズも備蓄しておきましょう。
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意外に不便でいらなかった&実際に役立った防災グッズとは
断水復旧後の注意点

断水が復旧したあとは、水道を使い始めるため下記の手順を実施してください。
- 止水栓(元栓)を開く。
- 最初に屋外の蛇口、もしくは台所・洗面所の蛇口を少しずつ開き、水をゆっくりと出す。
- 出てきた水の色・においを確認する。
- 異常がなければ、浴室やトイレなどの水道も確認する。
※浴室やトイレは構造上サビや不純物が詰まりやすいため、最後に確認するのがおすすめです。
元栓は全開にしよう
断水で元栓を閉めていた場合、復旧後は全開にするのが鉄則です。中途半端に開いた状態だと、水流を止める部品が摩耗し止水できなくなる恐れがあります。
さらには、水洗トイレや給湯器の動作不良を引き起こす可能性も。蛇口を開ける前に、元栓が全開になっていることを必ず確認してください。
水の色やにおいを確認

前述の通り、水道管内の空気の圧力で蛇口が飛び跳ねるかもしれないので、蛇口を少しずつ開きます。次に、出てきた水の色とにおいをチェックし、下記を参考に対処してください。
白く濁っている
水道管内の気泡が混ざり、白く濁っている場合があります。しばらく水を出し続け透明になれば、気泡による濁りと見て間違いありません。
赤く濁り、鉄サビのようなにおいを感じる
金属製の水道管が劣化、もしくはサビて剥がれた鉄が溶け出しています。しばらく水を出し続け透明になれば問題ありませんが、改善されなければ水道業者への連絡をおすすめします。
塩素のようなにおいを感じる
水道水は消毒のため塩素の注入が義務付けられており、気温や環境によって強いにおいを感じる場合があります。安全な水である証なので、異常ではありません。
トイレの備えをしておけば精神的にも安心
急な断水が起きると、特に困るのがトイレの水を流せない点です。水の備蓄はもちろん簡易トイレを備えておけば、いざ断水に襲われたとき精神的にも安心できます。
また断水が復旧しても、使えない水が出てくるかもしれません。断水が長期化した場合の過ごし方を考慮し、日頃から十分な備えをしておきましょう。