突然の地震や台風が発生すると、外出先で帰宅困難者になる恐れがあります。そんなときに何も備えていないと、長時間の苦痛を強いられるかもしれません。
災害が多い日本では、自宅での備えだけでなく外出中の備えも十分にしておく必要があります。
この記事では、実際に外出先での被災で役立った「防災ポーチ」について詳しく解説するので、後悔しないためにもぜひ参考にしてください。
Contents
防災ポーチってどんなもの?

自宅や職場で災害に襲われた場合は、備えてある防災袋・防災グッズセットなどが役立ちます。
しかし、外出先や公共交通機関での移動中に災害が発生した場合、備蓄品が利用できるとは限りません。
そんな外出先での非常事態に備え、最低限の防災グッズ一式を入れて持ち歩く袋が「防災ポーチ」です。
防災ポーチの例

もしも大地震によって公共交通機関が止まれば、帰宅困難者(帰宅難民)になる恐れがあります。
帰宅困難者になった場合、自宅や避難所まで移動したり、駅・電車内・施設などで数時間~一晩を過ごしたりなどを強いられるでしょう。
そんなとき、防災ポーチの備えがあれば非常に重宝します。
帰宅困難者の実例や予測
- 東日本大震災では、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県及び茨城県南部)で約515万人もの帰宅困難者が発生。

- 平成23年、帰宅ラッシュ時に大型台風が首都圏を通過。約103万人が影響を受け、東日本大震災以来の帰宅困難者数を記録。
- 30年以内の発生確率が70%とされている「南海トラフ巨大地震」では、愛知県内で最大約93万人の帰宅困難者が想定されている。
大災害発生時は、コンビニやスーパーで普通に買い物ができるとは限りません。
日頃から外出先で被災する可能性を想定し、防災ポーチを持ち歩くことが重要です。

防災ポーチを持ち歩いていれば、日常のちょっとしたアクシデントにも対応しやすくなりますよ。
特別なグッズにこだわる必要はナシ

防災ポーチを準備しようと思っても、いつ起こるか分からない災害に備えて常に持ち歩くのは面倒ですよね。しかし、防災ポーチだからといって特別な備えは必要ありません。
大事なのは普段の荷物にちょい足し感覚でプラスすることです。
防災ポーチを作るときのポイント
- なるべくコンパクトにして持ち運びの負担を減らす
- 非常時以外も使えるグッズを選ぶ
- 普段使っているバッグに無理なく収まるか
より充実させたいからとポーチの中身を多めにすると、いつしか邪魔になり持ち歩くのが嫌になってしまうかもしれません。
持ち歩きの負担にならないよう、中身はできるだけコンパクトにしましょう。

ポーチや中身は、100均で売っているものでもそろえられますよ。
中身をそろえるときは、非常時のみ必要そうなグッズにこだわらなくても大丈夫です。例えばウェットティッシュやマスクなどは普段から使い、その都度補充すればOKです。
またチョコや飴などの非常食も、普段から消費しその分を買い足していけば、賞味期限切れの心配がありません。

非常食を備えていたものの、必要な場面が訪れず気付けば賞味期限が切れていた、というケースも少なくありません。
普段から防災ポーチの中身に触れておけば、他にも必要なグッズが見つかる可能性もあるでしょう。
実際に防災ポーチを持ち歩き、また中身を消費しつつ、色々と試行錯誤するのもいいですね。
防災ポーチに入れておきたいおすすめグッズ
防災ポーチをコンパクト化するには、中身の防災グッズを厳選しなければなりません。
必要なものは人によって異なるので、おすすめのグッズをリストで解説します。
最低限入れておきたいもの

まず、優先的に備えたい防災グッズは下記の6点です。
最低限入れておきたい防災グッズ
- モバイルバッテリー(小型・薄型)
- ウェットティッシュ・ボディシート
- 携帯トイレ
- ばんそうこう
- 現金(小銭含む)
- 家族の連絡先を控えたメモ
①モバイルバッテリー(小型・薄型)
非常時には、連絡手段・情報収集のツールとしてスマホは必須です。充電を切らさないためにも、モバイルバッテリーは1つ備えておきましょう。
小型・薄型でスマホを1回満充電できるタイプがおすすめです。
②ウェットティッシュ・ボディシート
帰宅困難になったら、普段は当たり前にしている着替えや洗顔などができません。また女性の帰宅困難経験者によると、メイクを落とせず肌荒れやニオイが気になったという現実も。
災害時は断水する恐れもあるため、手や体を拭くためのウェットティッシュ・ボディシートはとても重宝します。
③携帯トイレ
外出先で災害が起きたら、公衆トイレや避難所のトイレに人が殺到するかもしれません。
また、電車やエレベーターの中に閉じ込められる可能性もあるため、携帯トイレを備えておくと安心です。多くは持ち歩けないので、防災ポーチには1回分を入れておきましょう。
④ばんそうこう
ばんそうこうは被災時の怪我に備えるだけでなく、長時間歩き続けて靴擦れを起こしたときにも役立ちます。
はがれにくく工夫されたものや、摩擦を軽減し痛みを和らげてくれるタイプもありますよ。
⑤現金(小銭含む)
電子決済の普及により、現金を持ち歩かない人が増えています。しかし災害時は、停電やネットワーク回線のトラブルにより、電子決済が利用できなくなるリスクも。
よって、普段持ち歩く財布とは別に、かさばらない程度の現金を用意しておくと安心です。公衆電話であれば通信規制を受けないため、10円玉や100円玉の小銭も備えておくと役立ちます。

防災ポーチで現金を持ち歩いていると、普段の買い物で財布を忘れたときに役立つことも。
⑥家族の連絡先を控えたメモ
スマホに家族の連絡先を入れていても、充電切れや通信トラブルが起きたら連絡できません。
家族の安否確認だけでなく、自分が病院へ搬送された際に連絡するためにも、家族の連絡先を控えたメモを入れておきましょう。
あわせて、災害用伝言ダイヤルの使い方もメモしておくと、いざというときでもスムーズに操作できます。

余裕があれば追加で入れたいもの

もしポーチ内に余裕があるなら、必要に応じて下記のグッズも入れておくとより安心です。また、女性におすすめのグッズも紹介します。
追加で入れたいおすすめグッズ
- 非常食(チョコレートや飴など)
- 常備薬
- マスク
- 小型LEDライト
- 歯磨きシート
- 使い捨てカイロ
- 生理用品
- 防犯ブザー
非常時の栄養補給としては、カロリー高め&長期保存可能なチョコレートや飴がおすすめです。
普段食べ慣れたものや自分が好きなお菓子であれば、非常時でもリラックスできる効果があります。
口の中を長時間ケアできなくなるのが心配な方は、歯磨きシートを用意しておきましょう。水を使わずシートで歯を拭くだけで、気になる汚れやニオイを取り除けます。
使い捨てカイロは冬の寒さ対策としてはもちろんですが、実は夏場でも役立ちます。
冷房が強い環境でずっと過ごすときや、お腹が急に冷えてしまった場合などは、カイロがあると重宝しますよ。
過去の帰宅困難者発生時には、お風呂やトイレが利用できず、デリケートゾーンのかぶれ・膀胱炎になってしまった女性が多く見られました。
生理中の被災も考えられますし、慣れない環境によるストレスで突然生理が来ることも。可能な範囲で、持ち運びやすい生理用品をそろえておくといいでしょう。
100均グッズだけで防災ポーチを作ってみた
100均で購入できる防災グッズのみで、実際に防災ポーチを作ってみました。



(右)保温・防水・防風機能を備えたブランケット

(右)暗所で光るホイッスル

(右)靴ずれテープ×2枚
↓ ↓ ↓
グッズ一式をポーチに詰め込んだ図

ブランケット・ホイッスル・ラムネは、パッケージから出して入れました。靴ずれテープは、右足・左足分の2枚を手前の二重ポケットに。
携帯簡易トイレは、いざというときに使用方法が分からないと困るので、パッケージのまま入れています。

A6サイズ(14.8×10.5cm)のポーチにこれだけ詰めても、まだ余裕があります。
サイズ比較

これくらいのサイズ感&重さなら、日常的に持ち歩くのも苦にならなさそうです。

100均グッズだけの防災ポーチでも、非常時には十分役立ちそうですね。
実際に使いながら自分に適した防災ポーチを作ろう
防災ポーチに入れる必要があるグッズは、人によって異なります。また、バッグの容量や個々の体力などによって、全体の重さも変わってくるでしょう。
まずは手元にあるもので作ってみて実際に持ち歩きながら、自分に合った防災ポーチを見つけてみてはいかがでしょうか。