マンションに住んでいる方や引っ越す予定がある方は、大地震が起きたら建物全体がどうなるのか、心配になりますよね。この記事では「地震が起きたときマンションが倒壊しやすい階」「マンションは何階が安全か」「災害リスクが本当に高い階」などを詳しく解説します。

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防災

マンションの地震で潰れやすい階や倒壊に強い階はどこ?

2022年12月21日

マンションにお住まいの方や引っ越しをお考えの方で、大地震に襲われたら建物全体はどうなるのか、倒壊してしまうのか、気になったことはありませんか?

地震大国の日本では、もしマンションで安全な階があるなら知っておきたいですよね。

この記事では

  • 地震が起きたときマンションが倒壊しやすい階
  • 地震で壊れやすいマンションの形
  • 地震のときマンションは何階が安全か
  • 災害リスクが本当に高い階

などについて詳しく解説します。

地震でマンションが倒壊するリスク

地震でマンションが倒壊するリスク

地震でマンションが倒壊するかどうかは、建物の耐震基準によって異なります。

なお、耐震基準は1981年(昭和56年)に大きく見直されているため、マンションの建築年が「旧基準」か「新基準」かを確認してみるといいでしょう。

耐震基準の目安

  • 旧耐震基準(1981年5月以前に建築)

震度5クラスの揺れでも建物が倒壊せず、破損しても補修すれば生活に支障が出ない。

  • 新耐震基準(1981年6月以降に建築)

震度6~7クラスの大地震でも建物が倒壊しない。阪神淡路大震災(最大震度7)において、旧基準に比べ新基準の建物は倒壊・崩壊した例がほとんど見られなかった。

2022年時点で築40年以内のマンションであれば、基本的に新耐震基準が適用されていると考えられます。

そのほか、住宅性能表示制度である「耐震等級」も判断の目安として使われています。

上記の新耐震基準と同等の耐震等級1をはじめ、2・3と等級が上がるごとに耐震性能も高くなります。

ただし、耐震等級を高くするには多額の建築コストを要したり、居住性が制限されたり(窓の数を減らす等)などのデメリットも。

そのため、近年では多くのマンションにおいて、あえて耐震等級1で建築を進める傾向にあります。

マンションの1階や2階は地震で潰れる?

マンションが被災した様子
出典:大阪市 地震によるマンションの被災

大地震発生時のニュースなどで、マンションの1階が潰れている様子を見た経験がある方もいるのではないでしょうか?

結論、地震発生時にマンションで潰れやすいのは1階ですが、潰れやすいかどうかはマンションの形状によって変わります。

例えば、細長い長方形のマンションは構造上バランスが悪いとされています。

なぜなら、縦横の比率が大きく異なることで、マンション内で地震の伝わり方にズレが生じるからです。

細長い形状のマンション

また、ピロティ形式(1階が駐車場などで吹き抜け空間になっている)のマンションも要注意です。

この構造は1階部分に壁がなく、柱のみで全体を支えている状態なので、大地震発生時には潰れやすいと言えます。

ピロティ形式のマンション

たとえ築年数が浅い新しめのマンションでも、十分な厚みがなかったりいびつな構造だったりする場合は、地震で1階部分が潰れてしまったケースも。

逆に築年数が古くても、低層住宅で横幅がしっかり取れている団地などは、強い揺れに耐えられる傾向が見られます。

地震のときマンションで潰れやすいのは1階ですが、災害リスクに関しては、高層階よりも2階や3階など低層階の方が安全な面もあります。

詳しくは次の項目で解説します!

災害リスクが高いのは高層階

災害リスクが高いのは低層階より高層階

マンションの高層階は、低層階に比べさまざまな災害リスクを抱えています。詳しく見ていきましょう。

一般的なマンションで地震に強いのは3階以下

マンションで地震が起きたとき、安全な階は3階以下とされています。主な理由は下記の通りです。

3階以下が地震に強い理由

  • 高層階よりも地震の揺れが小さいため、家具転倒や割れたガラスによる怪我などの二次被害が少ない。
  • エレベーターが停止しても階段で移動しやすい。地震で火災が発生してもスムーズに避難できる。
  • 低層階はマンション全体を支えるため、厚い壁や太い柱で頑丈に造られている。

高層階は「揺れが大きい+長く続く」

マンションで地震が発生すると、高層階は低層階に比べ揺れが大きく、また長く続くのが特徴です。

特に高層マンションの場合、高層階であるほど長時間に渡り大きく揺れる(長周期地震動)傾向にあります。

例えば震度6弱の地震が発生した場合、マンションの高層階では震度7程度の揺れに感じることもあります。

よって、たとえマンション自体が倒壊しなくても室内で転倒したり、家具が倒れてきたりなどの被害が発生しやすくなります。

地上との行き来ができなくなる恐れも

近年、特にタワーマンションで問題となっているのが、地震でエレベーターが故障し長時間停止してしまうことです。

これにより地震が収まったあともエレベーターで下に降りられなかったり、また外から家に戻れなかったりといた事態に陥ります。

チェック

東日本大震災では、仙台市や首都圏の高層マンションで多くのエレベーターが停止しました。

その結果、復旧作業に多くの人手を要する事態となり、エレベーターが長時間使えず孤立する世帯(高層難民)が多発しました。

ライフラインは下層階から順に復旧していくため、災害時は高層階であるほど孤立しやすいとの声も上がっています。

建築基準法では、高さが31メートルを超える建築物において非常用昇降機(エレベーター)の設置を義務付けています。

とはいえ、高層階は低層階以上に災害時への備えが重要です。

地震のときマンションから避難したほうがいいのか

地震のときマンションから避難したほうがいいのか

大地震が発生したら、地域の避難所へ移動しなければと考えますよね。

しかしマンションにお住まいの場合、地域によっては自宅でそのまま過ごすことが勧められています。

都市部では「在宅避難」を推奨している

災害発生時、都市部の各自治体ではマンション住民に対し「在宅避難」を推奨しています。

参考:震災時の在宅避難ガイドブック

在宅避難とは

基本的に避難所は、災害で自宅に住めなくなった(倒壊・焼損など)人のための一時的な生活場所です。よって、受け入れ人数には限界があります。

マンションは、特に冒頭で紹介した「新耐震基準」であれば、大地震でも倒壊する可能性は低いと想定されています。

そのため、慣れ親しんだ自宅で生活を続ける在宅避難が推奨されています。

避難所ではスペースを確保できず、横になって休むのが難しい場合もあります。

また、断水によってトイレの水が流せず、劣悪な衛生環境が続くことも問題になっています。

また、プライバシーが守られず女性や子どもが被害を受けたり、多くの人が集まる場所で感染症が拡がったりする恐れも。

その点、在宅避難であればストレスが少ない状況で過ごせます。

住めないほどの被害があったり、大規模火災の危険が見られたりする場合は、その限りではありません。

日頃からの備えが重要

在宅避難でも、マンションの代表者が定期的に物資を受け取ることは可能です。

しかし、より安全に在宅避難で過ごすためには、日頃からの備えが必須です。

必要な防災グッズについては、下記の記事をご参照ください。

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エレベーターの中で地震に襲われたら

もしもエレベーターに乗っているときに地震が発生したら、下記の手順で行動してください。

ポイント

  • 行き先階ボタンを全て押す。
  • 閉じ込められたら、非常電話ボタンを押し続ける。(地震感知装置を備えたエレベーターであれば、最寄りの階で自動的に止まります)
  • できるだけ楽な姿勢を保ち救助を待つ。

慌てず落ち着いて、冷静に行動することを心掛けましょう。

どの階でも普段から災害対策をしておこう

地震のときマンションで潰れる可能性が高いのは1階ですが、かといって高層階や中層階なら安全というわけでもありません。

ご家庭の環境や事情によっては、1階に住むのが適切な場合もあるでしょう。

マンションで高層難民にならないよう、日頃から備蓄をしたり避難時の行動を確認しておいたり、災害への対策をしておくことが重要です。

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